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TCFD提言に基づく情報開示

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株式会社高知銀行は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同しております。

当行の主要な事業基盤である高知県は、森林や清流、太平洋など大自然に取り囲まれており、地域の生活や文化は、これらの自然環境が育む豊かな恵みを享受することで成立しています。こうした地域性は一方で、台風や地震等自然災害の脅威が大きいという側面も併せ持っており、地球温暖化ガスの増加などに起因する気候変動問題は、地域の自然環境、生活・文化の持続可能性に大きな影響を及ぼすことも想定されることから、当行にとっても重要な課題であると認識しております。

こうした認識のもと、気候変動問題をリスクとして対応することはもちろんですが、地域の生活・文化を持続可能なものへと高めていくための取組みに協働することを地域貢献への機会ととらえて、気候変動問題への対応を重点施策の一つとして掲げるとともに、関連する情報開示も積極的に行ってまいります。

1.ガバナンス

当行は、地域の持続可能性向上に貢献すること等を目的とした「サステナビリティ委員会」を取締役会の下部組織として設置しております。同委員会は、取締役頭取が委員長を務めるほか、経営統括部担当取締役や関係部の部長により構成しており、当委員会における審議事項は、取締役会等に報告するとともに重要事項につきましては経営会議ならびに取締役会にて審議する体制としております。

「サステナビリティ委員会」では、お取引先の業種や市場の変化など様々な切り口から気候変動に伴うリスクおよびそれらへの対応サポート等を通じたビジネス機会を洗い出すとともに、気候変動を含むサステナビリティ関連事項の審議および進捗管理を行っております。また、経営方針や計画、予算等との関連付けを深度あるものとするよう、関係部との協働に努めてまいります。

<推進体制図>
推進体制図

2.戦略

当行グループは、「地域の皆さまとともに歩み、地域とともに発展する銀行」を目指して「熱意」「調和」「誠実」を経営理念として掲げており、この経営理念に基づき策定したサステナビリティ基本方針に則り、グループ全体で気候変動問題への対応を含む地域の持続的な発展に貢献する取り組みを行ってまいります。またこの取り組みを通じて収益機会を拡大させる好循環を実現し、企業価値の向上を図ってまいります。

当行グループは、地域社会の課題解決に資する11事業分野(4.(2)機会指標に掲載)をサステナブル分野として融資を推進するとともに、脱炭素化に資する事業向けに「こうぎん・グリーン・ファンド」を活用した投融資を推進し、地域社会の課題解決に向けた資金供給面のサポートをより一層強化してまいります。

また、投融資に取り組む際には、サステナビリティ基本方針に基づき定めた投融資ポリシーに沿って判断を行います。

気候変動に関するリスクとして、以下のリスクを認識しております。これらを対象とした気候変動のシナリオ分析の手法につきましては、今後検討を進めてまいります。

【移行リスク】

気候変動に係る規制や炭素価格上昇が及ぼす与信先のビジネスモデルや財務への影響等による信用リスクなど

【物理的リスク】

気候変動を要因とした自然災害等の影響がお取引先に及ぶ信用リスク、および当行が被るオペレーショナルリスクなど

3.リスク管理

当行は、リスクを「信用」「市場」「流動性」「オペレーショナル(事務/システム/法務/風評・その他)」に分類し、それぞれのリスク主管部署による検討結果をリスク管理委員会によってコントロールする体制としております。

また、気候変動対応が急速に進むことに伴う移行リスクや気候変動対応の遅れ等による自然災害等の物理リスクなど、当行の事業戦略の実行を妨げる可能性、あるいは顕在化しつつあるリスクを、統合的リスク管理における「エマージング・リスク」としてとらえております(右図)。「エマージング・リスク」は、統合的リスク管理のリスクカテゴリに関連づけしております(下図)。

<統合的リスク管理>

統合的リスク管理

<気候変動リスク概要>

TCFDリスク区分 内容 従来リスクカテゴリ
移行リスク
  • 炭素価格上昇による与信先自身のビジネスモデルの再構築
信用
  • 現有資産の償却や早期除却、高炭素資産の価値毀損、新たな設備投資などによる与信先の財務への影響
  • 規制強化や技術転換への与信先の対応が遅れた場合の影響
  • 消費者行動や消費者選好の変化による与信先自身のビジネスモデルの再構築
  • SDGs関連ビジネス(再エネ事業等)の外部不経済がもたらす、新事業の打ち切り
  • 第一次産品の仕入価格上昇による製造コストの増加(食品製造業)
  • 急激な脱炭素規制の強化・変更に伴う金融市場の混乱
市場・流動性
  • TCFD対応等、各種報告コストの上昇
  • 当行による融資がSDGsウォッシュと受け取られることによる企業評価の低下
  • 従業員採用等への影響(地域貢献へのコミットメント)
オペレーショナル
物理的リスク
  • 大型台風等による突発的防災・営繕コストの発生
信用・オペレーショナル
  • 自然災害に伴う不動産担保の毀損
信用
  • 海面上昇による不動産価格の変動
  • 気候変動による第一次産品の生産量逓減(農林水産業)
  • 大規模自然災害の発生や、食料共有の不安定化による金融市場の混乱
市場・流動性

4.外部環境に与えている各種効果の定量的指標および削減目標等

(1)CO2排出量(Scope1・Scope2)

当行グループ連結における二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標は、2030年度において2013年度実績比50%削減することを目指しており、引き続き、環境に配慮した営業店設備や営業車両の導入などを進めてまいります。

CO2排出量の実績値は、以下の通りです(小数点第2位以下切り捨て。カッコ内は、2013年度対比増減率)。

(連結) Scope1 Scope2 合計
2013年度 110t 2,861t 2,971t
2022年度 163t 2,065t 2,228t
(-25.0%)
2023年度 172t 1,604t 1,776t
(-40.2%)
(単体) Scope1 Scope2 合計
2013年度 52t 2,764t 2,816t
2022年度 127t 2,001t 2,128t
(-24.4%)
2023年度 137t 1,558t 1,695t
(-39.8%)

2013年度のCO2排出量は、ガソリンと電気のみで算出しています。

Scope2の排出量は、電力会社が発電時のCO2排出量に応じて年度毎に定める換算計数の変動の影響から、電力使用量が同じであっても変動いたします。

(2)機会指標

当行は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点や、SDGsの達成に向けた企業活動に期待が高まっていることから、以下の11分野を社会課題の解決に資する「サステナブル分野」と定め、資金供給をより一層強化してまいります。

サステナブル分野

  1. 研究開発
  2. 環境・エネルギー事業
  3. 医療・介護・健康関連・保育・育児事業
  4. 高齢者向け事業
  5. 観光事業
  6. 農林水産業・農商工連携事業
  7. 防災対策事業
  8. 食料品加工・製造関連事業
  9. 起業・事業再編
  10. デジタル・クリエイティブ事業
  11. カーボンニュートラル(脱炭素)事業

当行は、地域の事業者の脱炭素化の推進やSDGsの達成に向けた取り組みをサポートするため、「こうぎん・グリーン・ファンド」を活用した投融資を積極的に推進し、地域のサステナビリティ向上に貢献してまいります。

こうぎん・グリーン・ファンド
投融資の目標(累計実行額) 2,000億円
投融資の実績(累計実行額) 157億円
取組期間 2023年3月31日から2030年3月31日まで
対象事業および資金使途 国際原則や高知県脱炭素社会推進アクションプランに基づく投融資など、脱炭素化に資する事業向けの運転資金および設備資金

気候変動対応に資する投融資残高 480億円(2024年3月31日 時点)

(3)炭素関連資産

当行の貸出金に占める炭素関連資産(エネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食糧・林産品)の貸出金に占める割合は31.09%です。ただし、再生可能エネルギー発電事業等を除いております。

(2024年3月31日 基準)

エネルギー
1.83%
運輸
2.48%
素材・建築物
23.39%
農業・食糧・林産品
3.38%

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