伝統と変化の融合!赤岡町『高木酒造』の未来へ繋ぐ地酒造り
【グルメ】うまいもん

「楽しく飲む」がモットーの「しばてん踊り」です。
古くから日本酒文化が盛んな高知県。2024年に「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、近年"土佐酒"は海外でも注目を集めています。
今回は明治時代から酒造りを営む『高木酒造』を訪問。伝統を大切にしながら、驚きのエピソードを「新しい味」へと変えていく蔵の物語をご紹介します!
江戸の情緒が残る町・赤岡で140年。進化を続ける「高木酒造」
高木酒造が蔵を構えるのは、かつて高知県東部一の商業都市として栄えていた香南市赤岡町。明治17年の創業以来、この地で140年以上にわたり酒造りを続けてきました。
現在は、酒造りを一手に担う6代目と、酒米農家との関係作りや蔵の環境整備に尽力する5代目が力を合わせ、伝統を大切に守りながらも、新しい感性や柔軟な発想を取り入れ、地酒造りに励んでいます。
祭りの街・赤岡の想いを受け継ぐ「豊能梅」
普段は静かな港町の赤岡ですが、祭りの時期には一変します。
特に有名なのが、日本酒を豪快に飲み干す「大杯飲み干し大会」がメインの「どろめ祭り」。毎年5,000人ほどが集まるこの熱狂の舞台で、なみなみと盃に注がれるのが、高木酒造の代表銘柄「楽鶯 豊能梅(らくおう とよのうめ)」です。
「豊能梅」は1928年、同じ町内で酒蔵を営んでいた寺尾酒造が廃業するにあたり譲り受けたもの。寺尾酒造より籍を移してきた番頭の手腕もあり、高木酒造の顔として大切に育て上げられてきました。
高知県産素材100%への挑戦。「吟の夢」が変えた酒造り
高木酒造の歴史における大きな転換点は、1998年のこと。高知県初の酒造好適米「吟の夢」が誕生したのを機に、高知県素材100%の酒造りに取り組み始めました。
高知県が開発したお米や酵母、そしてこの地の水。こうした「土佐の素材」を活かした酒造りを追求した結果、全国新酒鑑評会での4年連続金賞受賞や海外の各種コンテストでの受賞など、国内だけでなく海外でも人気が高まっています。
現在、店頭にはそうした挑戦の結晶とも言える多彩な商品がズラリと並び、その圧倒的なラインアップに蔵の歩みの深さを感じずにはいられません。
竜巻と共に龍神が舞い降りた?最高傑作「豊能梅 龍奏」
その「吟の夢」を使用し、初めて仕込んだお酒が純米大吟醸「豊能梅 龍奏(りゅうそう)」です。
このお酒の誕生には驚きのエピソードが。
1994年、なんと高木酒造の酒蔵の真上に大竜巻が発生!幸いにも改築直後だった酒蔵の被害はありませんでしたが、この不思議な出来事を境に、完成するお酒はどれも良いものばかり。
四国清酒鑑評会では優等賞・全国新酒鑑評会では金賞を多数受賞。その後、高知県産酒米「吟の夢」で造ったお酒を初めて鑑評会に出品してみたところ、見事に金賞に輝きました。
「これはお酒好きの龍神様がきてくれたおかげだ。」
そんな感謝と畏敬の念を込め、竜巻のエピソードにちなんで龍神の奏でる酒「龍奏」が誕生しました。華やかな香りと甘辛のバランスが良く、大切な方への贈り物にもピッタリです。
偶然から生まれた奇跡のお酒「純米吟醸 いとをかし」
ハプニングを価値に変える「柔軟さ」も高木酒造の魅力です。その象徴が、低アルコールの純米吟醸「いとをかし」です。
2007年、濁り酒を仕込むためにバランス系の酵母を注文し仕込みを開始。しかし、発酵の途中でいつもと香りが違う事に気づき、確認したところ、間違えてCEL24酵母が届いていた事が発覚します。急遽濁り酒ではなく純米酒として仕上げ、「おかしな純米酒」、「おかしな濁り酒」として販売。その後正式にCEL24のお酒を商品化するキッカケとなりました。商品名は、当初のおかしなお酒から「いとをかし」と命名。
六代目が杜氏となるタイミングでこのお酒に注力し、海外三大コンテストですべて受賞する快挙を達成。淡麗辛口が多い土佐酒の中でしっかり主張がある甘口のお酒は、女性や若者にも人気で日本酒の楽しさ・可能性を広げてくれる存在となっています。
梅農家からの直接依頼で誕生!「豊能梅 土佐の梅酒」
日本酒だけでなく、果実酒ファンからも好評を得ているのが「豊能梅 土佐の梅酒」です。
元々梅酒を造る予定はなかったのですが、和歌山県の梅農家から「ぜひ、うちの梅を使って梅酒を造ってほしい」と直接依頼を受けたことから開発・商品化されました。
完熟した南高梅を蔵自慢の辛口原酒に漬けこむことで、梅本来の風味を活かした甘さ控えめの味わいに。男女問わずストレートでもさらりと飲みやすい梅酒で、丁寧な仕事が光る一品です。
初心を忘れず時代に合わせて変化していく酒蔵へ
高木酒造では、2026年4月からブランドコンセプトを「豊能梅 土佐香るまつり酒」と新たに定め、ロゴマークも刷新予定。「祭りの街のお酒」という意味のほかに、「日常の中に非日常感やワクワク感を味わえる土佐酒を届けたい」という意味合いが込められています。
「この一年は、高知県酒造組合の理事長として酒米農家との関係を作り、高知県からの補助金を利用しつつ蔵元がしっかりとお酒を造れる環境を作っていきたい。お酒造りは息子に任せられるようになったので、2人で力を合わせていきたい」と話す五代目。
父から子へと受け継がれる情熱、そして地域との絆を力に変えて、高木酒造は次なる未来への歩みを進めています。
赤岡町の店舗では予約なしでも試飲可能です。一つ一つ味を確かめながら心躍るお酒を探してみるのはいかがでしょうか♪










