土佐酒が世界で高評価の理由!高知県が誇る「高知方式」とは?
【取り組み】えいねぇ

豪快で気さく、誰とでもすぐ打ち解ける男、坂本龍馬じゃ。
2024年に「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、わしも愛する"土佐酒"は近年海外でも注目を集めゆう。
今回は、高知県工業技術センターが酒蔵と取り組む、独自の品質向上プロジェクト「高知方式」を紹介するぜよ!!
土佐酒が育んできたオリジナル文化

世界で"SAKE"が注目されるなかでも、独自の進化を遂げてきたのが土佐酒。
高知県には、地元ならではの宴会文化「おきゃく」があります。
大皿に盛られたカツオのたたきや刺身などを山盛りにした「皿鉢料理」を囲み、大勢で盃を交わしながら賑やかに楽しむものであり、この土佐伝統スタイルとともに、土佐酒は人々の暮らしに寄り添い続けてきました。
ですが、「南国土佐」と呼ばれる温暖な気候は、発酵と糖化を同時に行う日本酒造り、特に香りを大事にする吟醸造りには不利とされます。
それでも高品質な酒を生み出し続けてきた背景には、酒蔵の気概と工夫があります。
そして、その挑戦を"二人三脚"で支えてきたのが、高知県工業技術センターなのです!!
ライバルが手を組む、前例なき取り組み「高知方式」
分析中の高知県工業技術センターの研究員
本来であればライバル同士である酒蔵が、品質向上のために手の内(情報や技術)を明かし、共有する──。そんな前例のない取り組みを実現させたのが、高知県工業技術センターの技術者たちの「土佐酒をさらに良くしたい」という熱意でした。
11月~3月の製造シーズンになると、技術者2名が毎週各酒蔵を訪問。技術相談を受けたり、原料である酒米や麹、もろみ等を分析することで、製造管理を支援しています。
製造シーズンはひたすら分析し、品質の維持、向上を目指します。
高知県酒造組合の協力のもと、県内が一丸となって生まれたこの独自の品質向上の取り組みは、いつしか「高知方式」と呼ばれるようになりました。
技術者たちによる徹底したサポート体制
センターの技術者たちは、(年間を通じて)次のような徹底したサポートを行っています。
①高知酵母の開発と配布
各酒蔵と技術者たちとの交流によるニーズ調査や試験醸造を経て、他県にはない香り高い高知県オリジナル酵母CEL-24やAA-41、AC-95といった酵母を開発してきました。今も新たな酵母の開発に取り組んでいます。
また、各酒蔵で使用される高知酵母はセンターからフラスコで配布されています。年間の配布数はフラスコで約800本もあり、各酒蔵は多種多様な高知酵母を商品に合わせて使用しています。
②製麹研修
麹は酵母とともに清酒の発酵に欠かせない原料。
麹を製造する工程は製麹(せいきく)と呼ばれ、製麹を学ぶ機会として、高知県中小企業団体中央会が酒蔵の協力を得て、研修を実施しています。
高知県工業技術センターでは、研修へ技術者を派遣し、製麹した麹を分析。麹菌の違いや製麹過程における酵素の変化を分析によって明らかにし、情報提供することで、実際の製麹に役立ててもらいます。
③高知県新酒鑑評会や市販酒コンテストへの支援
県独自の新酒鑑評会「高知県新酒鑑評会」。
新酒の出来を確かめ、清酒の製造技術の向上につなげることを目的としています。
高知県工業技術センターでは、出品されたお酒の分析や審査委員の派遣を行っており、分析結果や審査内容は参加者に共有され、課題解決や全国新酒鑑評会の出品酒の選定に活かされます。
また、高知県工業技術センターでは国内や海外で開催される市販酒コンテスト(SAKE COMPETITIONや全米日本酒歓評会、KuraMasterなど)に向けて、出品酒の選定や利き酒能力の向上を目的とした研修を実施しています。
同様に、お酒の分析やコメントを参加者に共有しています。
県単位でここまで体制が整っている例は全国的にも珍しく、これこそが【高知方式】の真骨頂と言えるでしょう。
土佐酒の評価は、国内外で確かなものに

この地道な取り組みは、今、確かな成果となって表れています。
2026年5月に開催された令和7酒造年度全国新酒鑑評会では、【入賞率 全国3位】という成績を収めました。
さらに、フランスの「Kura Master(クラマスター)日本酒コンクール」では、2026年度に亀泉酒造が【純米大吟醸酒(36-50%)部門 プラチナ賞】、司牡丹酒造が【大吟醸酒部門 プラチナ賞】を受賞。伝統的な製法と品質が、世界でも高く評価されています。
高知県工業技術センターが目指す、これからの土佐酒
土佐酒はインバウンド需要の高まりとともに、世界からの注目はますます強まっています。
その中でセンターが目指すのは、業界全体の持続的な発展と技術基盤の強化を支えるとともに、地域に根ざした伝統や各社の個性に寄り添い、それぞれの酒造会社の状況や目指す方向に応じた技術支援を行っていくことです。
成分分析や酵母開発にとどまらず、土佐酒の原料となる地域に適合する米の開発にも携わり、未来の酒造りを支えています。
日本酒好きな方も、ユネスコ無形文化遺産登録をきっかけに興味を持ち始めた方も、酒蔵と技術者たちの情熱に思いを馳せながら、19蔵が紡ぐ、土佐酒の物語を味わってみませんか?
きっと、あなたの"お気に入りの一本"が見つかります♪
取材協力
高知県工業技術センター
掲載情報は取材時点のものです。現在の状況と異なる場合がありますので、最新の情報は公式サイト等をご確認ください。












